マイクロプラスチックとは?

 マイクロプラスチックを知っていますか?プラスチックが粉砕され、5mm以下の微細になったもののことです。
近年、プラスチックやマイクロプラスチックによる海洋汚染が注目されていますが、このマイクロプラスチックは海や川を汚染し、生き物や人に悪影響があることがわかってきています。

 自分には関係のないことだと思われるかもしれませんが、マイクロプラスチックは食物連鎖を通して食べ物にもそして飲料水にも空気にも含まれていて、実はわたしたちはなんと1週間にクレジットカード1枚分、1か月にハンガー1本分ものマイクロプラスチックを食べていることになるそうです。

マイクロプライメージ写真

出典:WWFジャパン YOUR PLASTIC DIET あなたが摂ったプラスチック量は?

マイクロプラスチックの原因

 私たちが日々使っている、ビニール袋、ペットボトル、食品トレー、商品パッケージ、ストロー、スクラブ剤入りの洗顔料や歯磨き粉、たばこのフィルター、テニスやサッカーの芝生コートなど、全てのプラスチックはその性質上、遅かれ早かれマイクロプラスチックになってしまいます。

 ゴミはきちんと分別して出しているし、プラスチックはリサイクルされているはずなのに、なぜ川や海に流出してしまうの?と思われるかもれません。しかし、実際には海洋ゴミの8割は街から来ており、毎年800万トン=東京ドーム7個分のプラスチックゴミが海に流れ着いています。
プラスチックゴミは、カラスがゴミ袋をつつき破ることで散乱したり、きちんと口が結ばれていないゴミ袋から溢れたり、ポイ捨てされたゴミが道路の排水口から河川に流出したりして、そして最終的には海に流れ着いているのです。そして海に流れ着いたプラスチックは波に打たれて紫外線にさらされ、小さく砕けていってマイクロプラスチックになるのです。

 また、日本は1人当たりのプラスチックゴミの排出量が、アメリカに次いで世界で2番目に多い国で、EU28ヵ国全体の排出量と同じ程度あります。しかも、そのプラスチックゴミのリサイクル率はたったの2割程度で、ほとんどが環境負担が大きい焼却処理により処理されており、処理をされずに埋め立てられているゴミも1割程度もあります。
 さらに、日本は人件費やごみ処理能力の問題から、多くのプラスチックゴミを海外に輸出して海外にその処理を頼っており、毎年100万トン近くのプラスチックゴミをタイ・ベトナム・マレーシア・台湾などの海外に輸出していますが、海外の業者でゴミが不法投棄されたり海に流出したりなどして適切に処理がされず、マイクロプラスチックの発生に繋がっていることもあると言われています。

出典:環境省 プラスチックを取り巻く国内外の状況

マイクロプラスチックの人や動物への影響は?

 ウミガメ、アザラシ、クジラ、海鳥、魚、貝、動物プランクトンなど、多くの海洋生物がプラスチックゴミやマイクロプラスチックを餌と間違って食べてしまい、健康被害が出たり死んでしまっているということをよく聞くと思います。
 プラスチックには難燃剤や可塑剤や紫外線吸収剤などの生物に有害な添加剤が使われており、それに含まれる化学物質(環境ホルモン)は、がんの発生率の上昇、免疫力の低下、生殖機能への影響、アレルギー、肥満、などがあることが最近の調査でわかってきました。

 プラスチックは破片が細かくなるほど添加剤が染み出しやすくなります。小さくなり添加剤が染み出したマイクロプラスチックをまず動物プランクトンが食べ、そのプランクトンを小さな魚が食べ、その小さな魚を大きな魚が食べる、という食物連鎖の中で有害物質の濃度はどんどん上がっていきます。
 そして最終的にその魚を食べているのは私たち人間です。

出典: 国際環境NGOグリーンピース マイクロプラスチック汚染、海や環境、健康影響についてわかってきたこととは? mymizu 海洋プラスチックごみとマイクロプラスチックはどこからくるの?

マイクロプラスチックの調査

くまかんれんでは、熊谷市内を流れる河川のマイクロプラスチックについて調査を行っています。
2021年に熊谷市内の3つの河川を対象に行った調査では、下記の結果のとおり、調査した全ての河川からマイクロプラスチックが検出されました。

対象マイクロプラスチックの数(1mm以上のもの)密度
和田吉野川(万本橋付近)  26個(/11.51 m32.3個(/m3
忍川(清水橋 付近 )  6個 (/10.44 m3 0.6個(/m3
福川(潤友橋 付近 ) 39個 (/8.74 m3 4.5個(/m3
調査・データ元: 株式会社 東京久栄

検出されたプラスチックの種類は、 ポリエチレン、ポリプロピレン、 ポリスチレン、ポリエステル、ウレタン、エチレン酢酸ビニル、エチレンプロピレンゴムがありました。
中でも多かったのは、ビニール袋・パッケージ材・ラップ・などに幅広く使われているポリエチレン(PE)と、ペットボトルの蓋・プラスチック容器・おもちゃ・家電・スポーツ用品などに使われているポリプロピレン(PP)でした。

 くまかんれんが毎年行っている荒川周辺の清掃活動では、ペットボトル、缶、ビン、ポリ袋、プラ容器、発泡スチロール、スポーツ用品、そしてテレビに至るまで、信じられないほど多くのゴミがあることに驚かされます。
 特に最近は、ペットボトルやポリ袋やプラ容器などのプラスチックゴミが多く、2018年のNPO法人・荒川グリーンエイドによる荒川のゴミランキングよると、1位はペットボトルで約35,000個、2位以下は食品のポリ袋で約15,000個、プラ容器が約15,000個、食品発泡スチロール容器が約15,000個、ビン12,000個、カン11,000個と続いています。
プラスチックゴミは、下の写真のようにプラスチックの破片が劣化してボロボロになっていることから、これらがマイクロプラスチックとなり河川に流れ、そして海に流れ着いていることが想像できます。
 インターナショナル・ペレット・ウォッチの調査によると、2010年の時点で世界51箇所の海岸の中で汚染が一番ひどい都市はサンフランシスコに次いで、東京が第2位でした。調査の中では、日本の海岸近くで採取されたプラスチックに付着した有害物質の濃度は、周囲の海水に比べて100万倍も高いことも示されています。